会話の原則6「合わせる」
会話のテクニック3つめは「合わせる」ということです。
原則5の「繰り返す」が聞いたことを真似るのなら、原則6の「合わせる」は見たことを真似るとも言えるでしょう。
英語でペーシングと言います。
相手がゆっくり話をしているのであれば、こちらもゆっくり話をしますし、割と早めに話すのであればこちらも早めに話します。
相手の話すペースにこちらが合わせることで、相手はより話しやすくなり、気分良く話を続けてくれることでしょう。
また、「合わせる」のはスピードだけではありません。
たとえば、恋人とのデートで食事をしているとき。
相手がレモンティーを頼んだなら、自分もレモンティーを頼む。
相手が水を飲んだら、自分も飲む。
相手が手をテーブルに乗せたら自分も乗せる――というように、動作も同じようにします。
ただ、これ、何もかも全く同じにしたら、相手はちょっと変に思うかもしれませんね。
少し時間差で動作を行ったり、合わせる動作も半分から3分の2くらいにするのがいいでしょう。
合わせること、ペーシングには逆の使い方もあります。
たとえば、相手がものすごく怒っているとします。
大きな声で早口でまくしたてているとします。
ここであなたも同じように大きな声で早口でまくしたてたらどうなるでしょう。
そもそも興奮している人というのは、自身の大声を自身で聞くことでますます興奮するものなのです。
ここであなたの大声まで聞いたら、さらに興奮度合いを高めることになります。
あなたは逆に、静かな声でゆっくり話をしましょう。
そうすることで、相手は少しずつ落ち着いてきます。
もちろん、原則1「否定しない」、原則2「最後まで聞く」、原則3「質問する」(怒りのポイントを正確に把握する必要があります)、原則5「繰り返す」(「すぐ壊れたぞ!」「申し訳ございません、すぐ壊れてしまったのですね」というように)等を駆使して相手の話を聞きます。
相手が興奮している間は、とりあえず「笑顔」は引っ込めましょう。
しかし、腕組みしたり、ふんぞり返ったりして相手の話を聞いてはいけません。
あなたの顔つきは神妙であっても、あなたの体からは「ウェルカムですよ」という「スマイル」の雰囲気が出ていることが大事です。
だから、怒っている相手と対していたとしても、顔以外の部分で原則4のスマイルを発しましょう。
苦情を言っている自分を受け入れてもらえていると、相手は思うからです。
苦情を言いに来て、拒絶されたら、相手の苦情はエスカレートする一方でしょう。
受け入れる必要があります。
怒っている相手に対しても、原則1~6は有効です。
相手が落ち着いたところで、解決策を探りましょう。