子どもに「ダメ」と言っちゃダメ
「否定しない」
これは会話の第1原則です。
原則のトップにくるということは最も重要な原則といえます。
「シロクマ実験」の話をします。
「シロクマのことを考えないでください」
と被験者に告げる「シロクマ実験」。
告げられた被験者は、シロクマのことを考えないどころか、かえってシロクマのことばかり考えてしまったという実験結果が出ました。
「シロクマのことを考えてください」
「シロクマのことを考えないでください」
どちらも相手にシロクマのことを考えさせてしまうという点では同じ言葉がけです。
人間の脳は「否定」が苦手なのです。
シロクマのことを考えさせたくないのなら、たとえば、
「アフリカゾウのことを考えてください」
「アフリカゾウのことを考えないでください」
など、別の動物を相手に思い浮かべさせる言葉がけをすると良いでしょう。
相手が子どもの場合は特にそうです。
次のような実験があります。
4歳の幼児に対して、何枚かの動物カードの中から
「ライオンのカードを持ってきて」
と告げたところ、ほとんどの子が正しくライオンのカードを持ってくることができました。
次に、
「キリンじゃないカードを持ってきて」
と告げたところ、キリンのカードを持ってきてしまった子が半分以上いたのです。
「否定」を理解できなかったのですね。
5歳児に対しての実験では、間違えた子は減ったもののやはり間違えた子はいました。
人間は「否定」が苦手です。
子どもなら尚更です。
「騒いじゃダメ」
「走っちゃダメ」
「触っちゃダメ」
これらは子どもに、
「騒げ」
「走れ」
「触れ」
と言っているようなものです。
「肯定」の言い方で告げましょう。
「黙ろうね」
「歩こうね」
「見てようね」
というように。