会話の心・技・体

武道、スポーツ、囲碁・将棋やかるたまで、あらゆる競技に心・技・体の3つの要素が大事であるように、会話においてもまた心・技・体が大事です。では、会話における心・技・体とは一体どんなものなのでしょう。このブログではそれを9つの原則にまとめて書いていきます。

自分のことは後回し

 相手が、
「こないだ釣りに行って凄い大物を釣り上げたんだ~~」
と話し始めたとします。
 すると、
「私も大きいの釣ったことあるんですよ、そのときは確か70cmの○○を――」などと話題を自分のことにもってきてしまうことありませんか。

 ゲームでもパチンコでも投資でも異性関係でも、相手が何か成功談を口にすると、ついつい自分も成功談を口にしてしまう。
 やめましょう。
 相手は、相手の成功談をあなたに聞いてほしいのです。
 あなたの成功談なんかこれっぽちも聞きたくありません。
 自分のことは後回しにして、相手の話に耳を傾けましょう。

「そうですよね、分かります」

 結論から言うと、相手の立場に立ちましょう、「そうですよね、分かります」と言いましょうということです。

 会話の原則6「合わせる」
 相手の立場に立ち、相手に話を合わせましょう。
 失業して困っている、病気で苦しんでいる、失恋して辛い思いをしている――相手がそんな話をしてきたときには、相手の立場に立ち、話題を相手に合わせます。
 ここで、テレビの話をしたり道楽の話をしたり旅行の話をしたりスポーツの話をしたりするのはトンチンカンですよ。
 相手の話を聞いたら、「そうですよね、分かります」と返しましょう。

「自分の悩みがおまえに分かるもんか!」
 中にはこう言う人もいるかもしれません。
 でも、「分かります」というのは、言葉の意味が分かったということですからね。
 古代ヘブライ語とかラテン語とかではなく、日本語ですから言葉の意味は分かったわけです。
 あとは、「そうか」「そうなんだ」「そうだね」「そうだよねーー」と「そ」で聞いてあげればいいのです。
 悩みは吐き出すだけで癒し効果があります。
 ぬいぐるみに向かって悩みを話すのでも、十分気持ちを軽くするのに効果があるそうです。
 あなたは相手にとっての、悩みを受け止めるぬいぐるみになったつもりで話を聞いてあげましょう。
 ぬいぐるみは黙っていますが、「そうか」「そうなんだ」と返しながら聞いてくれるあなたの方が、より相手を癒します。
 相手の立場を想像し、相手の立場に立ちましょう。

状況を変えようと思ったら、カド立てまくり

 結論から言うと、状況を変えようとすれば必ず反対されるものだということを心得ておきましょうということです。

 何事につけ、必ず既得権益者がいます。
 人間は既に得ている物を失いたくはありません。
 あなたがたとえ正当な理由をもって何かを変えようとしたとします。
 既に利権を得ている人は、現状たとえそれが不当な物であったと分かっていたとしてもそれを変えることに反対します。
 今まで得ていたものを得られなくなるからです。
 損するからです。
 不適切事例であっても、それが既成事実化していると、変えることは大変です。
 理不尽ですが、世の中とはそういうものです。

 あなたが転職や起業を家族に相談したとしても絶対反対されます。
 もろ手を挙げて賛成ということは絶対ありません。
 家族にしてみれば、これまで得ていた収入を失うというリスク――先述した既得権益を失うリスク――を背負いたくはありませんから反対するのです。

「あなたのためを思って言っている」
 そう言う人もいるでしょう。
 でも、漢字で「人(ひと)」の「為(ため)」と書いて「偽(にせ)と読みますからね。

 カドを立てずに状況を変えたい――特に日本人にはこの傾向が強いようです。
 でもですね、状況を変えようと思ったらカドを立てないことは無理です。
 カドなんか、あらゆる方面に立てまくりですよ。
 これは、表情を笑顔にするとか、丁寧な言葉づかいをするとかのレベルでどうにかなるものではないです。
 あなたが最高の表情、最高の態度、最高の言葉づかいで転職の話を切り出しても、絶対家族は反対(場合によってはすごい剣幕で怒りながら)しますよ。
 あなたが本気で状況を変えたいなら、あらゆる方面にカドを立てまくる覚悟を決めることです。

「おすすめは?」相手の意見、相手の考えを聞こう

 結論から言うと、複数選択肢がある場合、相手に「おすすめは?」と聞いてみようということです。
 会話の原則3「質問する」

 会社で部下からAB2つのプランが出てきたとします。
 ABそれぞれのプランのメリット・デメリットの説明も受け、あなたから見て甲乙つけがたく、いい意味で「どちらでもいい」場合。
 こんな時は、
「君のおすすめはどっちなの?」
と聞いてみましょう。
 もちろん、聞く以上は部下が勧めた方にするつもりで聞くのですよ。
 心の中であなたがどちらか決めている場合は、部下のおすすめは聞かず、あなたから「こっちだ」と言うべきです。

 レストランに食事に行ったとします。
 店員さんに「おすすめは?」と聞いてみましょう。
 こちらの場合も、聞く以上は、想定より予算オーバーの物だったり、あなたがどうしても食べられない物(食物アレルギーとか)だったりした場合以外は、店員さんから勧められた物を注文するのがお店側への心象もいいです。
 また、店として「おすすめ」する以上は、その店の看板を背負った自信作のはずです。
 食べつけない物だったとしても、そのおすすめを食べてみるという冒険をしてみても楽しいのでないでしょうか。
 あなたの世界が広がりますよ。

役に立とうが立つまいが友達は大切なもの

 結論から言うと、損得勘定抜きで会話しましょうということです。
 ビジネス、商談ならもちろん損得勘定は重要な要素です。
 ですが、日常の雑談でしたら、
「これは自分にとって有益か」
「無駄話は時間の浪費だ」
などといった損得勘定は抜きにして、笑顔で会話しましょう。

 あなたが笑顔で会話していれば、あなたの周りに自然と人が集まります。
 友達も増えます。

 あなたが幼い子どものころ、
「こいつと友達なら得だな」
「あいつと付き合うと損だ」
といった損得勘定をもっていたでしょうか。

「一緒にいると面白い」
「遊ぶと楽しい」
「なんか気が合うな」
 ただそれだけで友達になっていたはずです。

「自分の役に立つ奴とだけ友達になろう」
「こいつちょっと利用してやろう」
 そんなふうには思わなかったでしょう。
 でも、だんだん大人になるにつれて、そういう考えをもつようになる人もいるようです。
 大人になって本当の友達ができにくいのは、そういうことかもしれませんね。
 友達は、役に立つとか立たないとかいったものではありません。
 役に立とうが立つまいが、友達は大切なものなのです。

 また、あなたがいつも笑顔で会話していると、話しかけやすい人ということで、いろいろな人から仕事を頼まれるようになるでしょう。
 それを損だと思いますか?
 いえいえ、それはものすごく得なことなのです。
 たくさん仕事を頼まれ、それらを真摯にこなしていってみましょう。
 周りからの評判はよくなるし、何より成果を上げ、出世にだってつながるのです。

 役に立とうが立つまいが友達は大切です。
 損得勘定抜きで笑顔で会話しましょう。

会話には「あそび」が必要

 結論から言うと、自分にとって役に立たないと思われる話でも上機嫌で聞いてあげましょうということです。
 会話の原則4「笑顔」
 会話をしようと思っているということは、その人はあなたにとって少なからず大事な人ということですよね。
 ならば笑顔で話を聞くことです。
 会話の中身に意味が無いと思われることであっても、「相手と良好な関係を築く」という意味があります。

 会話のネタに次のものがあります。

「適度に整理すべし」
 テレビ・気候・道楽・ニュース・生活・田舎・旅行・スター・勉強・仕事

「たちつてと中に入れ」
 食べ物・地域・通勤通学・天気・富・名前・体・ニュース・はやり・異性・レジャー

「裏木戸に立ちかけせし衣食住」
 裏話・気象・道楽・ニュース・旅・知人・家庭・健康・性・仕事・衣・食・住

「楽しく話すコツ」
 旅・乗り物・仕事・国・はやり・長生き・スポーツ・子ども・通信

 これらの会話ネタに、特に意味があるというわけではありませんよね。
 テレビや道楽の話は、何か有益なことを目的にするのではなく、雰囲気作り、関係作り、場つなぎで行うものです。

 自動車の運転でいうところのハンドルの「あそび」です。
 「あそび」が無かったら、ちょっとハンドルを動かしただけで、車の進路が大きく変わってしまいます。
 危険ですね。
 なめらかに進路変更できるためにはハンドルの「あそび」は必須です。

 なめらかに会話を行うためにもまた「あそび」が必須であり、それが上記の「適度に整理すべし」「たちつてと中に入れ」「裏木戸に立ちかけせし衣食住」「楽しく話すコツ」なのです。
 この、一見、中身に意味が無さそうな会話ネタは、なめらかな会話のために必須の「あそび」です。
 相手がどのような話題をしてきても(それがあなたにとって無意味に思えたとしても)、笑顔、上機嫌で会話しましょう。

相手にいいことがあったら「良かったね」

 結論から言うと、相手が自慢話をしたら「良かったね」と言ってあげましょう」ということです。
 会話の原則9「受け答える」
 相手の自慢話に対し、「うんうん」「そうんですか」「へえ、すごいですねえ」「良かったですね」と相槌を打ってあげましょう。
 相手の自慢話を感心しながら聞いてくれるあなたに対し、相手の心にはあなたに対する信頼貯金がたまっていきますよ。

 相手が宝くじを当てようが、家を建てようが、高級ブランド品を買おうが、世界一周しようがあなたには関係ないことです。
 相手が宝くじを当てない場合、家を建てない場合、高級ブランド品を買わない場合、世界一周をしない場合と比べて、あなたの生活に変化はありませんよね。

 それに、相手の話を「良かったね」と聞いてあげることは、実は脳科学的にあなたにとってもメリット大なのです。
 脳は主語や否定語を認識しません。

 「シロクマ実験」をご存知ですか。
 人間は「シロクマのことを考えないでください」と言われても、シロクマのことを考えずにはいられません。
 それどころか、かえってシロクマのことを強く考えてしまいます。
 「~~しない」という否定語は、人間の脳に対して、認識しないどころか、逆効果に強く作用するのです。

 また、他人の悪口を言うことは自分の脳にとってたいへん良くない行為です。
 脳は主語を認識しません。
「あいつはバカだ」
と言うと、脳には主語の抜けた「バカ」だけが残ります。
 脳は自分が「バカ」と言われたと思い込むのです。
 他人の悪口を言うことは、実は自己評価、自尊感情、自己有用感をどんどん下げてしまうことにつながってしまっているのです。

 だから、相手をほめたたえることは、実は自分をほめたたえるのと同じなのです。
「すごいですね」
「立派だ」
「すばらしい」
「良かったね」
と相手に対して言うことは、自分に対して言っているのと同じです。

「うらやましくなんかないから」
と否定語を使うのは、脳にとっては
「うらやましい」
と言っているのと同じです。

「あなたは、自慢ばっかりして嫌な感じ」
「あいつ、罰が当たればいいのに」
に関しては、主語抜きで認識されるわけですから、脳にとっては自分に対して
「自慢ばかりして嫌な感じ」
「罰が当たればいいのに」
と言っているのと同じです。

 相手にいいことがあったら「良かったね」です。
 信頼貯金はたまるし、脳科学的に自分にとってもいいし、いいことずくめですよね。