会話の心・技・体

武道、スポーツ、囲碁・将棋やかるたまで、あらゆる競技に心・技・体の3つの要素が大事であるように、会話においてもまた心・技・体が大事です。では、会話における心・技・体とは一体どんなものなのでしょう。このブログではそれを9つの原則にまとめて書いていきます。

会話の原則1「否定しない」

 人は誰でも自分のことを分かってほしい、自分を認めてほしいと思っています。
 自分のことを分かってくれる相手、認めてくれる相手に対しては、人は心を開いてくれるでしょう。
 反対に、自分のことを分かってくれない相手、認めてくれない相手に対して心を閉ざしてしまうのは、言うまでもありません。
 では、どうすれば会話中の相手の心を開くことができるのでしょうか。
 それは、相手の話を「否定しない」ことです。

 私たちは何気ない会話の中で、「でも」「だけど」「違うよ」「そうじゃないでしょ」といった言葉を発していないでしょうか。
 全て否定語です。
 会話中にこれらの言葉が増えれば増えるほど、相手は少しずつ心の扉を閉ざしていくことでしょう。

 全世界で1500万部売れた人間関係の名著、デール・カーネギーの『人を動かす』において最初に出てくる原則は次のものです。

「批判も非難もしない。苦情も言わない」

 まさに「否定しない」内容ですね。

 こう書くと、
「では、相手が間違ったことを言ったり、法を犯すことを言ったり、道義に反することを言ったりしたとしても肯定しろというのか!?」
 なんだか声高にこんな反論が聞こえてきそうです。
 でも、落ち着いてください。
 私は「否定しない」と言っているのです。
 「肯定しろ」とは言っていません。

「肯定しないし、否定もしない。どうしろと言うのだ? 意味が分からない!」
 そう思った方へ。
 相手が間違ったことを言ったり、法を犯すことを言ったり、道義に反することを言ったりしたときに、どうすればいいのか。
 それについては、この後に書いていきます。

 今は、人との会話における心構えとして、相手の話を「否定しない」――これを覚えてください。

人を動かす 文庫版

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