会話の心・技・体

武道、スポーツ、囲碁・将棋やかるたまで、あらゆる競技に心・技・体の3つの要素が大事であるように、会話においてもまた心・技・体が大事です。では、会話における心・技・体とは一体どんなものなのでしょう。このブログではそれを9つの原則にまとめて書いていきます。

会話の原則7「ほめる」信頼貯金1「サンドイッチでほめる」

 

 「貯信」という言葉を聞いたことがありますか。
 周囲からの信頼感を得て、それを貯金のように蓄積させていくこと。
 信頼の貯金です。
 ここからは、貯金額ならぬ、回りからの信頼度「貯信額」をアップさせていくことについて書いていきましょう。
 まずはほめることについてです。

 人間関係において信頼度をアップさせる手立てとして、ほめることは大事です。
 時には、「前払いでほめる」というように、事実が生じる以前にほめるのも効果的です。
 姿勢が良くない小学生に「姿勢いいねえ」というようにほめると、ほめられた瞬間から姿勢がよくなるというように。
 ですが、人間関係において、ほめてばかりいられないこともあります。
 時には注意をしなければならない時もあります。
 そんな時、言い方によっては、せっかくそれまで蓄積させてきた貯信額を台無しにしてしまうこともあります。
 気をつけましょう。
 気をつけ方の1つとして「サンドイッチでほめる」というものがあります。
 その名のとおり、「ほめる――注意する――ほめる」というように、注意の前後にほめ言葉を付けるというものです。
 約束の時刻に遅れてくる部下がいるとします。
 そんな時は、たとえばこう言ってみます。

「君は普段から仕事を丁寧にやってくれているよね。昨日出してもらった書類もよくできていたよ」
(ここで、部下から「ありがとうございます」等のリアクションが入る場合もあるでしょう)
「ところで、今約束の時刻に遅れてきたが、何か終わらない仕事でもあったのかな?」
(「そうではありません。電車を一本乗り過ごしてしまいました」等の言い訳を部下に言わせます)
「そうだったのか。もしかしたら仕事を丁寧にやってくれていて時間がかかってしまったのかと思ってね。次からは遅れないようにしてくれ。また、連絡も入れてくれ。事故にあったのではないかとみんな心配したからね」
(「申し訳ありませんでした。以後、気をつけます」)
「分かってくたらいいんだ。無事に来てくれたから良かったよ。今日のプレゼンもいつものようにいいのを頼むよ」

 部下としては注意はされましたが、初めと終わりにほめられていますので、それほど精神的負荷はかかりません。
 1つ注意はされたものの2つほめられたことで、ふてくされたりせず、逆にあなたのためにもっとがんばろうと思います。

 ここでは、普段から仕事が丁寧で、プレゼンなどでも能力を発揮しているという部下の設定でしたが、中にはもっとほめどころの無い部下もいることでしょう。
 そんな部下であっても、注意だけするよりも、ほめた方が、絶対あなたとの信頼関係は増しますし、職場の仕事のためにも有益です。
 だから、ほめようの無い部下ほど、普段から意識的にほめるべき点を探し出しておきましょう。
 そうして「ほめ」のストックをしておくと、1つ注意する時に、あなたは加えて2つほめることができます。
 貯信額アップです。

一生お金に困らない人生をつくる―信頼残高の増やし方