会話の心・技・体

武道、スポーツ、囲碁・将棋やかるたまで、あらゆる競技に心・技・体の3つの要素が大事であるように、会話においてもまた心・技・体が大事です。では、会話における心・技・体とは一体どんなものなのでしょう。このブログではそれを9つの原則にまとめて書いていきます。

会話の原則5「繰り返す」

 会話の原則の5番目。
 技、テクニックの2番目は「繰り返す」ということです。
 聞いたことを真似るのです。

 最も基本的なテクニックは、相手が言ったことをそのまま鏡のように繰り返すということ。
「今日、学校行きたくないんだよ」
 我が子がこんなことを言ってきたら、親のあなたはどう返します?
「ずる休みなんて許しません!」
 相手の言うことモロ否定していますね。
 会話の原則1「否定しない」に反します。
 ここは、会話の原則3「質問する」で、まずは「どうしたの?」と理由を聞いてあげ、その理由がどんなものであろうと、「最後まで聞く」(原則2)のです。

 さて、我が子が理由の説明を始めたら、時々子どもの言葉を繰り返しましょう。
「眠いんだ」
「眠いんだね」
「あの先生嫌いなんだ」
「先生が嫌いなんだね」
「宿題やってないんだよ」
「宿題やってないんだね」
「学校なんか辞めて働きたいよ」
「学校辞めて働きたいんだね」
「あ~あ、ニートになりたい」
ニートになりたいのか」
「生きてるの、やになっちゃったな」
「生きてるが、やなんだね」
 こんな感じです。
 あなたが内心「何わがまま言ってんだ」「これ理由になってる?」「馬鹿なことを!」と思ったとしても、そこはじっと我慢。

 一方、子どもの立場に立ってみましょう。
 親が自分の言い分を否定せず、説教もせず、腰を折らずに話を聞いてくれています。
 子どもは安心して話を続けることができるでしょう。
 そんな中で、実はこんな風にぽろっと本音を言うかもしれません。
「実は……、クラスで無視されてるんだ」
 子どもにもプライドがあります。
 親に心配かけたくないという思いもあります。
 いじめられているという事実を、なかなか打ち明けがたいものなのです。
 子どもの心を解きほぐせるような会話をしなければ、なかなか本音を言ってくれることはないかもしれません。

 ここでは、親子の会話を例にしましたが、夫婦でも恋人でも兄弟でも友人でも仕事仲間でもみな同じです。
 相手の言葉を繰り返しましょう。