会話の心・技・体

武道、スポーツ、囲碁・将棋やかるたまで、あらゆる競技に心・技・体の3つの要素が大事であるように、会話においてもまた心・技・体が大事です。では、会話における心・技・体とは一体どんなものなのでしょう。このブログではそれを9つの原則にまとめて書いていきます。

会話の原則1「否定しない」心構え2「否定しないことは、肯定することとは違う」

 人は全て違うのが当たり前です。
 違うからといって否定していたら、あなた以外の全人類を否定しなければなりません。
 否定していい人と否定していけない人の線引きなんてありません。
 犯罪者にだって人権はあります。
 犯罪者から話を聞く弁護士も、まずは「否定しない」で話をよく聞くところから入るのです。
 誤解しないでください。

 「否定しない」は「肯定する」ということではないですよ。
「物を壊していいんだ」
と言う人に対して、否定しないでどう言えばいいんだと思いましたか。
 たとえば、こう言います。
「物を壊していいんだと思ってるんだね」
 こう言えば、その人の言い分を否定していないと同時に、物を壊すことを肯定もしていません。
 相手の不適切な言動に対しては、「あなたは、そう考えているのですね」といった、相手を主語にした言い方で返しましょう。

 そうすれば相手は、「自分の言ったことを否定されなかった」「物を壊していいんだという自分の考えを分かってもらえた」という思いをあなたに対してもちます。
 ここでは、「受け入れる」と「受け止める」という表現で説明しましょう。

 「受け入れる」は肯定です。
 相手の言い分を、あなたもまた「正しい」とする。
 プラスの判断ですね。

 否定はマイナスの判断です。

 では、「受け止める」は?
 「受け止める」はプラスマイナスゼロ。
 事実を、ありのまま、そのまま認める。
 それに対する価値判断はしない。
 判断を「止めて」いるんですね。

「物を盗んでやる」
「学校をさぼってやる」
「寝ないでゲームしてやる」
「好きなだけ食べてやる」
「倒れるまで飲んでやる」

 このような言動に対し、
「いいよ、やりなさい」
と言うのが肯定。
 相手の言動へのプラス判断。

「だめだよ、やめなさい」
と言うのが否定。
 相手の言動へのマイナス判断。

 では、プラマイゼロの「受け止める」言い方は?
「あなたは、そう思ってるんだね」
「君は、そうしたいんだね」
 是非の判断を止め、相手を主語にした文で、相手の考えている事実をそのまま認めるのが「受け止める」言い方です。
 不適切な言動に対しては、「否定しない」、でも「肯定しない」。

 「受け止める」言い方で返しましょう。